佐川美術館に行ってきました

 

滋賀県の佐川美術館に行ってきました!

 

佐川美術館といえば「お水ぅ!」という感じの外観で有名ですね。


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写真があまりにも下手で肝心のお水の良さが全く感じられませんが、とにかくお水に囲まれた建物の中で美術展が見られる綺麗なスポットです。

 

ここはチケットが予約制なんですけど、このお水潤沢スポットに来る前に通るゲートでチケットを引き換えるんですよね。だからお金を払わないと水すら見れません。

 

これは便利なシステムだなあと思いました。他の美術館の場合、館内に入るのは自由で展示室に入るためにチケットを購入するシステムになっていることが多いのですが、佐川美術館のように外観が特徴的で観光スポットになりうる建物の場合は「ここで写真を撮る」ことそのものが価値ある体験になりうりますので、取ったったらええと思います。お金。

 

またお客さんからしても、チケット1枚あれは全ての展示を見られるので便利ですね。一度ゲート内に入ったらうっかりチケットをなくしても問題ないのが嬉しいです。

 

館内にはカフェもあるので1回入場したら結構ゆっくりできそうなのもよかったです。ドリンクやデザートに加え、そば、サンドイッチ、今なら期間限定のうどんも食べられます。

 

「カフェやのにうどんとそば?どんなラインナップやねん」と最初は思いました。でもお昼にうどんを頼んだらそこそこな早さで提供されたので、これは調理時間が少なくて済むメンバーが選出されているのかもしれませんね。土日のお昼でも混雑しにくいように工夫されているのかもしれません。

 

さてこの「建物の外を囲うお水」ですが、写真で見ていた時は「フーン、水やん」としか思っていなかったんですよ。

 

琵琶湖というものがありますからね滋賀県は。今更水だけでアッと驚くことはありません。それなのに実際見に行くとすごくよかったですね。

 

まず藻とかゴミとか浮いてなくてかなり綺麗なお水だったんですよ。しかも何か装置が入っているのか、常に細かく波立っていて美しい表情を楽しむことができました。

 

私が行った時は天気も良かったので、水面に光が反射してキラキラしてすごく綺麗でした。


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この写真ではあんまり魅力伝わりませんが、とにかく生で見た方がいいです。

もっと広くて「水ぅ!」を楽しめるエリアが沢山あったのですが、見るのに夢中で写真に残せませんでした。「忘れられない景色はどうせ頭に残るから記録する必要がない」と思ってしまうずぼらーまんなので…。

 

そしてこの建物は、水を直接見て楽しむだけでなく、建物の中からも水と光が織り成す美しさを楽しむことができます。


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これねー!これこそ生で見てほしい!!

 

実物は水面の動きに合わせて壁に映った光がチラチラ動いて本当に綺麗なんですよ!静かな館内で光だけがキラキラ動いてすごくいいんです。また生で見たいなーと思ったのであえて動画には残しませんでした。頑張れ未来の自分、見に行け未来の自分。

 

今ちょうど大阪で「光」をテーマにしたテート美術館展が開かれていますが、つい「もうこれで十分やん!光にしろ何にしろ実物が一番サイコーや!」と思ってしまいました(が、結局行きましたのでその感想も書くと思います)。

 

佐川美術館は"ていねいな人"が作った美術展という感じがしますね。洗練されている点が多くてすごく楽しかったです。

 

さて肝心の展示内容についてですが、まず一番良かったのが


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こちらの展示でした。

 

展示の仕方が、ありえん・オシャ・おしゃんてぃーでした。

 

ここは写真NGだったので私の下手な写真すら載せることができず実際に見るしかないんですが、光の使い方、空間の暗さの活かし方、什器のチョイスなどが本当によかったです。

 

作品ひとつひとつの解説書きは特にないのですが「見りゃわかるッ!この魅力ッ!!」と説得力を感じるような、作品の持つ力強さと静けさと自然と調和するような美しさがググッと押し出された展示方法で痺れました。

 

佐川美術館は他にもモリモリ展示があります。平山郁夫展、佐藤忠良展、なんや特別な感じの企画展(今回はエッシャー展)ですね。どれもすごくよかったです!

 

平山郁夫展は風景を通じて自然や人の営みや光や空気などが描かれていましたが、絵が飾ってある高さがどれも低めに感じたんですよね。だから「絵画作品を鑑賞している」というよりは、自分もその空間にいるかのように感じられて楽しかったですね。

 

風景を描くのが上手い人はなんでその土地の空気をあんなにうまく表現できるんでしょうか?

 

湿度が高そうだなとかきっと乾燥しているなとか、冷たそうな空気だなとかなんだか暖かそうだなとか、なんでそういう目に見えないものを絵で伝えられるのか全く分かりません。

 

アンコールワットの絵が飾られていたのですが、私もアンコールワットに実際行ったことがあるので「そうそう!ほんまにこういう感じやったわ」と驚きました。

 

アンコールワットを「見る」感覚ではなく、アンコールワットに「いる」感覚を再現しているところに驚きました。シンプルな線や色付けでもその空間をしっかりと再現できるのが信じられないくらいすごいですね。

 

平和の重要性を伝えるために、恨みや憎しみが残る表現ではなく希望を感じられる表現を選択したいという考え方にも「せやなあ〜」と思いました。

 

人は不安を感じるとそれを取り除きたくなる性質がありますし、そのために時には「誰のせいでこうなった?」と誰かや何かを責める思考に偏りがちになってしまうことがあるんですよね。

 

「自分にとって大切なものを守りたい」という純粋な気持ちが、不安によって曇ることで「大切なものを脅かしうるものへの攻撃」になってしまうことがあるんです。だからどんなときでも、頭の中にある不安や怒りや恨みだけでなく、今手元にある光や希望にも目を向けることが大事なように思いますね。

 

「こんな辛い中でもこちらに残っているこの存在を大切にし続けないといけない」という責任感が人の品性や忍耐や寛容さの下支えになる時があるので、失ったものだけを見るのではなくまだ残っているものを大切にする心も平和のためには重要だったりすると思います。

 

佐藤忠良展も面白かったですね。どれも静止している彫刻作品なのに、自分よりずっと躍動感が感じられて「なんかこの作品たちに負けてる気がする…。活き活きと生きるってやっぱ簡単なことじゃないんやな〜」と思いました。

 

色々な作品を見て「私にもこんなふうに『生きてますよォ!』感のある瞬間って存在するのかな?他の人から見た私の姿ってどんな感じなんやろ」と気になりました。

 

私はアイドルが本当に好きなので色々なアイドルを見るんですけど、アイドルの美しさって結局顔が可愛いとかスタイルがいいといった姿かたちそのものが示しているんじゃなくて「人としての活き活き感」に表されてるんですよね。

 

確かにみんな顔が可愛くてスタイルがいいし、ファッションはプロの衣装さんが考えたものでヘアメイクも素敵だけど、でも結局その人を輝かせているのは「表現者として仕事にも自分自身にもファンにも向き合い続けているからこその自信と人間性の輝き」だなって思うんです。

 

だから私も自分にしかない活き活き感を出せるようになりたいなと最近思ってるんですよ。しかしまさか立体作品に先を越されているとは思いませんでした。生きることと活きることは違うんですよね、難しいです。

 

そしてそして、最後にご紹介するのがなんや特別な感じの企画展ことエッシャー展です。

 

これは最初「フーン、だまし絵かあ」とか思ってなくてそこまで期待してなかったんですよ。

 

でも想像よりずっと楽しくてよかったです!あの有名なだまし絵に限らず、エッシャーさんの創作人生において完成させてきた多種多様な作品が飾られていてとてもよかったですね。

 

作品が素晴らしいのはもちろんのこと、その魅力をきちんと伝えられるよう工夫された解説よ数々が本当に分かりやすかったです。

 

エッシャーさんご自身の考え・興味関心とそれらの変遷、当時の周囲の反応・評価、作品そのものの意味や技術的にポイントとなっている部分の解説といった様々な視点から語られていたので痒いところに手が届く内容でした。

 

体験して遊んだりはしゃいだりできるようなコーナーもいくつかありました。年齢問わず誰でも楽しみやすそうでしたね。

 

こんな感じで佐川美術館、丁寧に作り込まれているポイントが盛り沢山でとても楽しかったです!駅から遠くて30分程度バスに乗っていないといけないのでバスが苦手な私にとっては苦痛かなと想像していたのですが、ほのぼのした田畑や鳥さんを眺めながらぼーっとできたので意外に楽しかったです。

 

佐川美術館はこれまでにもよさげな展示をやっているときがちょくちょくあったので、機会があればまた行きたいですね〜。